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DIS Product Byte

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DISメンバーが選んだ米国の注目プロダクトをご紹介します。
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#プロダクトマネジメント

米国の確定申告事情とCash App Taxesの狙い

1月から4月にかけて、米国ではTax File(確定申告)の季節になります。そんな中、Cash AppにTax Fileの機能がリリースされました。米国のTax File事情も踏まえながら、この機能の意義について考察したいと思います。 (そもそもCash Appとは何?という方はこちら。) 米国のTax File事情日本で企業勤めをしている方は年末調整などほとんど企業がやってくれるので想像しづらいでしょうが、アメリカでは自分で確定申告(Tax File)をしなければいけま

Venmoのスーパーアプリ化はCash Appへの逆襲となるか

Square Cash Appの投稿ではじまった私のnoteですが、今回は比較対象にされやすいVenmo(ベンモ)を取り上げます。最近行われたUIリニューアルに彼らの方針転換がかなり明確に表現されており、優れた情報設計のアップデートにはユーザー目線とビジネス目線の両輪があってはじめて成り立つことがわかる良い事例です。 「スーパーアプリ」とはなにかという議論が湧いてきそうですが、この記事では様々な金融サービスを統合したアプリを意味しています。つまりVenmoは送金アプリから総

今さら聞けないRobinhood②:他の証券会社とは一線を画する体験設計

昨日IPOしたRobinhoodについて、前回は主な収益源となっているPFOF (Payment for Order Flow) の仕組みについて説明しました。この仕組みはコミッションフリーの株取引を実現してRobinhoodは一躍株初心者にとってのモバイル証券のスタンダードと言える程に成長した訳ですが、今や他の証券会社でも普及したビジネスモデルであることにも触れました。この記事では、このようにビジネスモデル自体がユニークでない中、なぜRobinhoodが引き続き多くの個

今さら聞けないRobinhood①:手数料無料のからくり、PFOFについて説明

今年は米国フィンテック企業のExitが目白押しですが、その中でも最も関心を集めているのがRobinhoodでしょう。米国時間7/1(木)に開示されたS1や、いち利用者としての私の視点を交えながら、Robinhoodがなぜ注目を集めているかを紐解いていきます。 掘り下げ甲斐のあるプロダクトなので、数回にわたって投稿したいと思います。今回はビジネスモデルのコアとなっているエンドユーザーからの手数料無料ながら大きな収益源になっているPFOF(Payment for Order

Expensify.cashからみるフィンテックのOpen Source Projectの可能性

6/18(金)にこんなメールが届きました。David BarrettはExpensifyという経費精算SaaSのファウンダー兼CEOです。 要はExpensifyが個人間送金のサービスをリリースした、という話なのですが、これが大変取り組みとしておもしろかったので記事にします。 この記事はフィンテックのプロダクトマネージャーやソフトウェアエンジニアにおすすめです。 Expensifyとは前述の通り米国の経費精算SaaSです。 設立2008年で、2021年5月にFor

米国デビットカード事例からみる、これからのお金のあり方

米国に住み始めてから、まるでトレーディングカードを集めるかのようにカードが増えていっています。これらは生活の中で必要にかられて作ったものもあれば、「おもしろそうだから」と個人的な興味で作ったものもあります。 あふれるカードの中でも特徴的に思えるのがデビットカードについてです。前回のNoteではCash Appにおいてデビットカードが収益のドライバーになっていることを紹介しましたが、今回は他の事例も交えながら、デビットカードが切り開くお金の未来について妄想してみたいと思い

前年比+165%で売上総利益1,353億円!米国Square Cash App急成長の秘密

Cash Appは米国フィンテックアプリの非常に優秀な成功事例です。この記事ではSquareのIR資料と併せて具体的なアプリのUIを見ながら、いかに高度な戦略を体験レベルで実現しているのかを解説していきます。 この記事はコンシューマー向けアプリのプロダクトマネージャーや、フィンテックアプリの担当者におすすめです。 Cash AppとはSquareが出しているコンシューマー向けフィンテックアプリです。元々はVenmoのようなシンプルな個人間送金のアプリでしたが、現在はペ